小滝建設工業は、川崎にある、鉄道に関する土木工事を専門に手掛けている鉄道工事会社です。
2020年に設立50年を迎えた弊社では、社員の採用に力を入れています。
このコラムでは、就職先を探している方々に向けて、なかなか日頃はお伝えできない鉄道工事のことや、会社の中のこと、働いている仲間のことをお話ししています。
▽動画で知りたい方はこちら▽鉄道工事と言っても一般の方々の目に触れる機会は少ないかもしれません。
終電が過ぎた後、深夜に実施される工事が多いためです。
線路が通る橋梁の工事や、駅のホームの移転、乗り入れ路線の増設などを始め、実は人々の身近なところで日常的に細かな改修工事も行われているのです。
今回は、小滝建設工業で工事管理者を務める富岡に、鉄道工事の現場のこと、そして工事管理者の仕事についてインタビューをしました。
鉄道工事のプロフェッショナル!富岡さんのお仕事
Q.担当している業務について教えてください
富岡:私は、工事管理者という役割で現場に入って、工事全体の指揮命令を行っています。
一般的には、「現場監督」などとお伝えすれば分かりやすいかも知れませんね。
工事管理者の業務についてもう少し具体的にお話しすると、まず施工のサイクルタイムの管理です。
これは、決められた時間内に工事を終わらせるよう、進捗をチェックする仕事です。
それから、工事の品質管理も工事管理者の仕事です。
決められた仕様に沿って作業を一つ一つ行っていきます。
物を設置する高さや位置が決まっていますので、その通りに工事が進んでいるか確認を行います。
工事の質は段取りで決まると言われますが、事前準備を入念に行い、当日の動きも頭に入れます。
そして、作業者の安全管理。非常に大切な仕事のひとつです。
軌陸車(きりくしゃ、車道と線路上を走ることができる車両)を走らせながら作業を行うこともありますので、万が一の事故を防ぐために安全な体制で工事を進めます。工事管理者の責務です。
尚、鉄道工事の現場は安全面に関して厳格なルールが敷かれていて、現場内ではそれらが徹底されています。Q.何歳から鉄道工事の仕事をしているのですか?どうして鉄道工事を選んだのかも教えてください。
富岡:高校を卒業してからだから…18歳の時ですね!
初めは別の会社に就職し、そこで15年間勤めました。
その頃は、どんな仕事をするのかなんてあまり考えていなくて、求人の情報を見て「お、給料が良いな〜」と思って応募したんです。(笑)
あの、これだけは伝えておきたいです。
私は若い人によく言っているのですが、この鉄道工事の業界は常に求められている仕事で、給料や待遇は良いです。
勤務時間が夜という点など大変なことはありますが、しっかり収入を得られてやりがいある仕事だと思っているのでおすすめです!
Q.その「やりがい」というのは何なのかをぜひ教えていただきたいです!やりがいってよく使われる言葉ですが、実感するのって簡単ではないと思います。
富岡:社会人みんなそうだと思うのですが、だいたい3年くらい仕事を続けていると、その仕事のことが少し分かるようになって、面白みを感じてくるようになると思うんですよね。
弊社でも、3年くらいすると少しずつ現場で責任ある業務を担当していきます。
そうすると自分のポジションや、自分が手掛けている仕事の意義が見出せるようになるんじゃないかな、と。
何でもとにかくやり続けてみるって大事なことだと思いますね。
気になる鉄道工事のリアル。
富岡さんがイマ手掛けている「省力化排水工事」とは?
Q.現在、取り掛かっている現場について、どんな工事かを教えてください
富岡:ひとつは「省力化排水工事」。
どういう内容の工事なのか説明する前に、なぜこの工事をしなければいけないのか、問題となる背景から説明しますね。
日本全体が抱える問題だと思いますが、労働人口がどんどん減ってきて、人材不足・人手不足の状況が起きています。
線路の管理も例外ではないので、点検や整備の回数を極力減らす、メンテナンスフリー化を目指すようになってきているという現状があるんですね。
なので線路の構造を改善し、メンテナンスを極力減らせるようにしていこうという動きがあります。
省力化排水工事は、線路にかかる雨水などの排水効率を上げるために、線路と線路の間にU字溝と呼ばれる、断面がU字の形をした連結式の排水溝を設置する作業です。
現場での私たちの仕事は、軌陸車を3〜4台走らせ、そのうちの1台が、バックホーと呼ばれる掘削機で線路脇を掘り、溝を作り、そこにU字溝を設置していきます。
Q.将来を見据えた取り組みですね!線路の排水ってそんなに大切なのですね。
富岡:土木の世界は全てそうなんですが、水のコントロールって非常に重要なんです。
線路でいうと、水が線路上に残ってしまうことで、錆びなどの線路の劣化に繋がってしまうので、排水設備を整えることが大切なんですよ。
Q.雨の量が多いと、線路上に水が溜まってきて、線路を悪くするんですか?
富岡:たとえば、線路の下には石が敷いてありますよね?
その石が段々と割れてきて、最終的に砕けて泥になります。すると、そこに水が溜まりやすくなるんです。
そうなると、皆さんが電車に乗っている時に、電車の揺れを感じることが増えてきて、乗り心地にも影響してきます。
Q.富岡さんが手掛けているその工事によって、どれくらい線路のメンテナンス頻度が下がるのですか?
富岡:それはクライアントである鉄道会社さんの管轄になりますので、詳しいことまではわかりません。
ただ、メンテナンスの工事内容でお話しするのであれば、先ほどお伝えしたように、線路は長く使っていると、歪みが発生してしまい、電車の乗り心地が悪くなってしまいます。
日頃から線路をジャッキで上げて、地面と水平になるような作業が行われているのですが、そういった作業の頻度を少なくすることができます。
鉄道会社では、日々線路の上を歩いて安全な状態にあるか目視で確認しています。
そういった作業の負担も軽減されるのかもしれないですね。
Q.なるほど!ちなみに…この作業時間は2時間半程と聞いたのですが、1回でどれくらいの長さのU字溝を設置するのですか?
富岡:U字溝は一基が2mあります。それを3基設置するので、1回で施工する長さはおよそ6mになります。
今携わっている路線では昨年(2021年)から本格的に取り組み始めて、およそ1km位は完了してきましたね。
駅と駅の間の線路沿いを、毎日コツコツ継続して作業しているんですよ!
鉄道工事は作業時間が限られていますので、時間との闘いです。 一度掘ってしまったものは、正しく埋め戻さないと電車が走れなくなるので、時間通りに作業を終えるための時間管理は緊張感があります。
他にはどんな鉄道工事があるの!?
Q.他にはどんな工事を手掛けてきましたか?
富岡:そうですね、たとえば「インテグレート工事」。
インテグレートというのは、統合する、集約するといった意味があります。
電気設備工事の付帯工事なのですが…もう少しくだいて話すならば、線路脇の電柱の老朽化に伴って、電柱を新設していく工事です。
この工事は電気部門で受け持っている工事ですが、電柱を立てる基礎、10m程の深さの穴を、先ほども話に出てきた軌陸車を使って掘っていきます。
この工事も、省力化排水と同じように、継続的に行っていますね。
自分の仕事が人の生活を支える、その達成感を感じる時。
Q.今までで最も印象に残っている鉄道工事は、どんなものでしたか。
富岡:4年ほど前、期間でいうと1年半ほど取り掛かっていた工事なのですが、橋梁の延命化工事を行いました。
工事の対象となる橋は、幅は2mほど、長さは50mほど。
その現場は作業時間も本当に短くて、1回10分しかない!なんてこともあったんですね。(笑)
しかも工期も短く、かつ危険も伴うという色々なリスクがあった現場でした。
管理者としては、そのような大変な現場でしたので、無事に完了した時は達成感を感じましたね。
今思い返すと本当にあっという間だったという印象です。
長く苦しかったという感覚はありません。
日本では地震などを経験し、国の構造物に対する考え方が変わりました。
耐震・免振構造が求められるようになって、全国的に改修が求められています。
この橋も、そういった構造物のひとつだったわけです。
そういう意味で、会社としては仕事がたくさんありますし、成り手もまだまだ不足しているから、若い人にとっては本当にチャンスのある業界だと思いますよ。Q.工事管理者という仕事の醍醐味を教えて下さい
富岡:土木工事というのは、成果物が存在します。
目に見えるものが出来上がっていって、それが世の中のためになっているのを見ると、「自分が手掛けたんだ」という嬉しさがありますよね。
現場に一緒に取り掛かる職人さん達とも長い付き合いになってきて、彼らとはやりがいを共有できていると思っています。
特に先ほどの橋の延命工事のような、難易度の高い現場や、大変な工事をやり終えた後の達成感はひとしおですね。
Q.鉄道工事は夜間の作業が多いと思いますが、体の負担が大きいのではないですか?
富岡:鉄道工事の世界って、他の建設業界と違って「昼働き、夜働き、昼働く」という感じなんです。これはどこの会社でもそうなんですよ。
私自身は、高校を卒業してからずっとこの業界なので、すっかり慣れているのですが、他の業界から来られた方ははじめは驚くかもしれません。
ただ、一般土木の夜間作業と比較すると、作業している時間はすごく短いです。恐らく、半分もないんじゃないですかね。
私は工事管理者という立場もあり、繁忙期にはかなり忙しくなるということはありますね。
鉄道工事の先輩は若手をどのように育てるか!コミュニケーションの秘訣は?
Q.後輩社員をどのように育てたいと考えていますか?
富岡:もう現代は「見て覚えろ」という教え方は通用しない、古い指導方法だと思っています。
やっぱり「見せて、触らせて、体験して覚える」ということが大切ですよね。
私が20代だった頃なんかとは教え方がもう全然違いますから、人にものを教えるというのは難しいなと常に感じています。
恐らく、どの業界でも若い人たちへの教育に関しては、苦慮されているんじゃないですかね。
気を付けていることといえば、人によって指導の仕方は変えます。本人に合わせて。<
厳しく指導した方が悔しさをバネに伸びる子もいると思いますし、逆にそのような伝え方をすると落ち込んでしまう人もいます。
やっぱり相手をしっかりと見ないと、効果的な指導はできません。
Q.でも、鉄道工事は作業時間も短い、精度も保たなければいけないという現場で、じっくりと教えるというのは難しいですよね?
富岡:そうですね、仰る通りで、作業をしながら教えるというのはなかなか難しいです。
鉄道工事は許された工事時間が数時間、短い時は何分という世界なので。ですから、現場ではどうしても、作業が遅滞なく行われることが優先されます。
ですので工事の前段階は手厚く指導しています。
想定される作業、発生しうる疑問を拾い上げて、そのイメージを共有した上で一緒に現場に入ります。
現場は緊張感がありますが、その代わり日中は時間が取れますので、気兼ねなく話しかけてもらえる雰囲気を作っています。
私は、自分の方が立場が上だからどうとか、そういった感覚あまりなくて、後輩ともフラットに付き合っているつもりです。
言いたいことは言ってもらって、気楽な感じで付き合っていますね。工事管理者としての立場は、あくまでも仕事上の話であって、仕事を離れれば関係ありませんから。
この前も、休みの日ですが後輩と連絡を取ったりして、くだらない冗談も言い合う仲です。
Q.富岡さんのもとで働けたら楽しそうですね!
では最後に、鉄道工事に興味を持っている方にメッセージをお願いします。
富岡:前半でもお伝えしましたが、鉄道工事の仕事は他の土木関係の仕事と比較しても給料も高い方だと思います。
一方で人手は足りておらず、今後も仕事はたくさんある業界です。若い方には本当にチャンスのあるいい業界だと思います。稼ぎたいという人にはうってつけな職業ではないでしょうか。
関心を持ってくれたら、是非一度会社の方に見学に来てもらえたらと思います。
どんな人達が働いているのかぜひ見てみてください!お待ちしています!
▽LINE公式アカウントはこちら▽ ▽採用専用ページはこちら▽https://www.k-kotaki.co.jp/recruit/newgraduate/
▽お問い合わせはこちら▽